ソーシャルアクション


 

 

 

東大阪市の精神科病院での虐待の疑いの報道に対する声明

 

大阪精神保健福祉士協会 会長 萩原 敦子

 

2022年3月29日、東大阪市の医療法人聖和錦秀会「阪本病院」認知症治療病棟において、性的虐待が疑われる事案などがあったとして、大阪府が精神保健福祉法に基づいて指導していたことがわかったとの報道がありました。認知症病棟で、職員が認知症患者に対して言葉使い、食事介助や移乗に際して不適切な行為が行なわれていたということです。匿名の通報により今回の事案が発覚しています。その一つ一つは、言葉や態度での嫌がらせや侮辱などで、障害者虐待であることは疑う余地がありません。これまでも、精神科病院の慢性期病棟、認知症病棟で異議申し立ての困難な患者に対しての虐待を疑わせる行為が繰り返されています。

障害者虐待防止法では、「何人も弱い立場にある障害者に対して、虐待をしてはならない」と規定しています。現在精神科病院での虐待は通報義務がありません。通報義務が課せられていないという側面は、社会一般に精神科病院は精神障害者の人権が守られていない場所、行動制限が前提としてある場所という認識を与えてしまいかねません。

大阪精神保健福祉士協会は、主として大阪府内で活動する精神保健福祉士で構成されています。精神障害者の社会的復権・権利擁護と福祉のための専門的・社会的活動を行なう専門職団体です。精神科病院の長期入院者の退院促進や社会参加支援を目的に資格が創設されています。当協会の構成員の約半数は精神科医療機関に所属しています。

今や精神疾患は5大疾患として、誰もがなる可能性のある疾患とされています。精神科病院での治療が入院者の尊厳が保たれる環境となるためには、障害者虐待防止法での通報義務を課すべきです。また、入院者の意思決定や意思の表明についての支援が必要であります。

入院者の意向を丁寧に聞き取り、精神科病院のスタッフと協働しながら地域での支援を受けて生活されるような連携と協働のシステムがさらに図られる必要があります。私たち精神保健福祉士も自らを点検し、精神科病院に入院中の方の権利侵害を防ぎ、精神障害のある方の支援の充実に向けて鋭意努力していきます。

 

 


生活保護基準引き下げに関する大阪地裁判決について

2021年2月22日に行われた第24回生保裁判・大阪公判にて原告勝訴の判決が出されました。

 

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R3.2.22 大阪地裁判決骨子.pdf
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R3.2.22 大阪地裁判決要旨.pdf
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つきましては、

今裁判について、厚労省宛に控訴を行わないようにしていただきたいといった旨の嘆願書がございます。

 

ご賛同頂ける方は一人一枚、直接厚労省宛にFAXしていただくようお願いいたします。

控訴期限が2週間ということなので、3月8日(月)までの取り組みになります。

ご協力よろしくお願いします。

 

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嘆願書.docx
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「生活保護基準引下げ違憲訴訟」並びに「生活保護制度の充実と活用」に関する署名協力のお願い

 2013 年度からの生活保護基準引き下げは、過去最大の下げ幅(平均 6.5%、 最大 10%)で、生活保護を利用する 96%の世帯が削減されるという大きな影響を与えました。今回の引き下げは「健康で文化的な最低限度の生活」を保障すると規定された憲法第25条に明瞭に違反したものです。原告の実情やこのような状況を踏まえ、徹底した審理の中で、公正な判 断を下されることを強く求めるための署名のご協力をお願いいたします。

 署名書面は下部よりダウンロードしてご利用ください。また集まった署名については大阪精神保健福祉士協会で取りまとめさせていただきますので、協会にご送付いただけますようお願い申し上げます。

 

一般社団法人 大阪精神保健福祉士協会 事務局

 〒542-0012  大阪府大阪市中央区谷町7丁目4番15号 大阪府社会福祉会館内

 

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大阪地裁向け署名・確定版.pdf
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また、コロナ禍による生活苦が広がる中、“いのちのとりで”である生活保護制度の充実と活用を求める緊急署名へのご協力もお願いいたします。

 

※またこちらに関しましてはオンラインでの署名も行っております。

https://forms.gle/hQKpMPKmw7hWDuJz5

 

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いのとり署名.pdf
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生活保護基準引き下げに関する名古屋地裁判決について

 生活保護制度の生活扶助基準は、2013年8月から2015年4月までの3年間で段階的に平均6.5%、最大10%引き下げられました。年間削減率は、670億円と史上最大なもので、全国29都道府県で1,000人を超える人が裁判をおこしています。

 削減額の約9割を占める580億円は、物価の考慮によるものでした。1984年から採用されている生活扶助基準の改定方式(水準均衡方式)は、民間最終消費支出の伸びを勘案するものであり、物価を考慮したことは一度もありません。にもかかわらず、厚生労働省は、総務省統計局や社会保障審議会生活保護基準部会等の意見を全く聞かずに独断で「生活扶助CPI」という独自の消費者物価指数を使用しました。厚生労働省は物価下落率を大きくするために敢えて前例のない独自の計算式を作出したとも言われています。

 この度の名古屋地方裁判所の判決(2020年6月25日)は一連の訴訟での初の判決でしたが、原告らの請求を全面的に棄却しました。判決において裁判長は、「生活保護費の削減などを内容とする自民党の政策は、国民感情や国の財政事情を踏まえたものであって、厚生労働大臣が、生活保護基準を改定するに当たり、これらの事情を考慮することが出来る」としました。また、「生活扶助基準の改定に当たっては専門家により構成された審議会等による検討結果を踏まえて行うことが通例であった」と認めながら「専門家の検討を経ていないことをもって直ちに生活扶助基準の改定における厚生労働大臣の裁量権が制約されるということはできない」としました。

 生活保護基準は、憲法25条が規定する生存権保障の理念を具現化するものであり、すべての国民が人間らしく生きていくためのものですが、妥当性を欠く制度後退が「国民感情や国の財政事情」で認められてしまえば、生活保護受給者はさらに劣悪な環境におかれていくことになりかねません。(その後も2015年には住宅扶助、冬季加算の引き下げ、2018年には母子加算、児童養育加算の引き下げも行われています。)

 また、生活保護基準はナショナルミニマムとして最低賃金や就学援助制度、住民税非課税限度額や各種減免制度など47以上の低所得者制度に連動しています。生きる権利が財源によって軽んじられる今回の判決は決して容認できるものではありません。

 私たち大阪精神保健福祉士協会は、精神科病院や精神科クリニック、地域の障害福祉事業所などで精神障害者の地域生活を支える福祉的支援を行っています。精神障害者の多くの方は生活保護を受給されており、この判決に強い関心を持っております。今後後続の集団訴訟において、憲法25条の生存権が真に保障される司法判断が下されることを強く望みます。

 

2020年8月5日

一般社団法人 大阪精神保健福祉士協会

会長 萩原 敦子


大阪社会福祉四団体連絡会が行った生活保護基準影響緩和の陳情行動に対する堺市の回答

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堺市議会:陳情の審査結果報告について.pdf
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『わたし、ソーシャルワーカーです!』キャンペーン第2弾


ソーシャルワーカーの皆様、国勢調査への回答は済まされましたか?ちゃんと「ソーシャルワーカー」と回答してくださいましたか?


キャンペーン第2弾です!


お次は、「自信を持って名乗ってみた!」エピソードを募集します。


こんなところで、職種を聞かれ、当たり前のように「ソーシャルワーカーです!」と答えて、「意外と伝わったよー」もしくは「全く伝わらんかったー」というエピソードを大募集します。いただいたエピソードは協会HPやニュースに掲載させていただきます。

さらには、「2年後の日本PSW協会 全国学術集会で発表できれば…!」と考えております。


ちなみに、私は、先日、警察官に診療所勤務だと伝えたところ、

「お医者さん?看護師さん?受付さん?」と聞かれ、「ソーシャルワーカーです」と答えたら、

「あー、ワーカーさんね。」と言われました(嬉)!


しかし、友人が、そのまた友人に、「この人、ケースワーカーさん(ちょっと違うけど…)。」

と紹介してくれましたが、「は?ケースバイケース?」と言われました(泣)。


......はい、お仕事の内容はケースバイケースです。


エピソード作りのためにも積極的に、「ソーシャルワーカーです!」と名乗ってください!

そして、そんなエピソードを事務局までご投稿ください。


件名に「キャンペーン」とお書きください。

事務局FAX06-6764-7839     E-mail:osaka-psw_kyokai@beetle.ocn.ne.jp


一般社団法人 大阪精神保健福祉士協会


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ソーシャルワーカーキャンペーン2.pdf
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『わたし、ソーシャルワーカーです!』キャンペーン


ソーシャルワーカーの皆様にご質問です。

普段、「お仕事は何をしているのですか?」と聞かれ、何と答えていますか?

「ソーシャルワーカーです」と答えていますか?

 

もしくは、「ソーシャルワーカーってどんなお仕事ですか?」と聞かれたら、どう説明していますか?

 

わたしたち(一社)大阪精神保健福祉士協会では、近い将来、「ソーシャルワーカーです」と言えば、「消防士」や「医師」、「弁護士」のように「あ~ソーシャルワーカーね」と言ってもらえる職種名になることの期待を込めて、『わたし、ソーシャルワーカーです』キャンペーンを行います!


キャンペーンでは、まずは今年度、実施される「国勢調査」をターゲットにします。

 

国勢調査の職業欄に、「会社員」もしくは「団体職員」、「その他専門職」などにチェックを入れず、「その他(ソーシャルワーカー)」と書いてください!


キャンペーン参加者が多ければ多いほど、5年前の調査時と比べると、大阪はソーシャルワーカーが増えたという調査結果になります。

ちょっと面白そうではないですか?

 

ご賛同いただけるソーシャルワーカーの皆様、ぜひ、キャンペーンにご協力ください!

そして、ソーシャルワーカーという職種を社会に広めていきましょう!!

 

さらに、2017年度に大阪の地で「日本精神保健福祉士協会全国学術集会」が開催されます。

2年後の全国大会開催に向けて、『ソーシャルワーカー』が盛り上がっていくように、このキャンペーンを足がかりにしたいとも考えております。

 

ソーシャルワーカー全体が盛り上がるキャンペーンになることを願って・・・。


一般社団法人 大阪精神保健福祉士協会


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ソーシャルワーカーキャンペーン.pdf
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署名「精神障害者への医療費助成及び交通運賃割引に関する大阪府への要望」「精神障害者の交通運賃に関する請願書」


大阪精神障害者家族会連合会では「精神障害者への医療費助成及び交通運賃割引に関する大阪府への要望」と「精神障害者の交通運賃に関する請の要望書」について、年末にかけ大阪府下で8万人の署名を目標とされています。

 

大阪精神保健福祉士協会は、9月3日の常任理事会で審議し、趣旨に賛同し署名活動に協力することを決定しました。

研修時の署名集めや、理事を通じての署名集めにご協力ください。

 

∇署名の詳細は下記を参照してください

公益社団法人大阪精神障害者家族会連合会(だいかれん)「精神障害者への医療費助成及び交通運賃割引に関する大阪府への要望」

http://daikaren.org/

公益社団法人全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)「精神障害者の交通運賃に関する請の要望書」

http://seishinhoken.jp/proposals/view/600



戦争する国へ進む安全保障関連法案に反対する声明


 参議院安全保障関連法案採択に反対する(声明)


 私たちは児童、障がい者、高齢者等の社会的弱者を含むすべての国民が健康で文化的な社会を享受し、人権尊重と社会正義、公平・平等な社会を希求する団体です。

 戦後70年の今、私たちは重大な岐路に立っています。安全保障関連法案は「戦争しない国」から「戦争する国」へ軌道修正されようとしています。

新法の「国際平和協力法」と10本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」は衆議院を通過し参議院で審議が行われています。

・・・

 私たちは過去の大戦による過ちを繰り返し、国民が戦争の惨禍に巻き込まれないように安全保障関連法案について国会で徹底審議をつくし、廃案とすることを強く求めます。 (一部抜粋)


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戦争する国へすすむ安全保障関連法案に反対する声明2015.08.06.pdf
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ネパールソーシャルワーカー協会への義援金募集

2015年4月25日、ネパールの首都近郊を直撃した大地震により、各地に甚大な被害が発生しています。


被災地では死者が5,000人を超え、約420万人が医療サービスなどの緊急支援を必要としており、食糧支援を必要とする人も約350万人に上ると言われています。


日本精神保健福祉士協会などSW4団体で構成する社会福祉専門職団体協議会(社専協)では、2011年に日本で開催されたアジア太平洋ソーシャルワーク会議において「災害時におけるソーシャルワーカーの役割」をテーマにしたシンポジウムを開催後、国際ソーシャルワーカー連盟の支援を受けて、アジア太平洋地域のソーシャルワーカーの連携強化を目指した「災害対策プロジェクト」に取り組んできました。


そうした経緯も踏まえ、まずは社専協として、同じく国際ソーシャルワーカー連盟に加盟するネパールソーシャルワーカー協会に見舞金(義援金)をお送りすることにいたしました。


現在、多くの団体においてネパールへの救援金や義援金を募集していますが、私たちソーシャルワーカー団体としましては、被害地域における今後のソーシャルワーカーによる支援活動において、その拠点となるネパールソーシャルワーカー協会に義援金をお届けしたいと考えております。


大阪精神保健福祉士協会もこの活動に賛同いたします。

皆さまのご協力よろしくお願いいたします。


http://www.japsw.or.jp/backnumber/oshirase/2015/0501.html


署名「障害厚生年金受給資格の改正を求める請願」

 「若年性認知症に罹患した患者は、自らの変調を認識できず、診療を受けないまま退職を余儀無くされることが多い。このため、在職中に診療を受けていなければならないとする現行の厚生年金保険法第47条第1項によっては、障害者厚生年金の受給資格が認められない。」

 「厚生年金を支払っていたにもかかわらず、若年性認知症に特有の病態によって、その受給資格を失ってしまうことは不合理です。」(一部抜粋)

飛梅の会 代表 越智須美子

                                       徳永 響弁護士

                                         篠木 潔弁護士

協会はこの活動の賛同し、みなさまに署名活動を協力していただけるようお願い申し上げます。

お手数をおかけいたしますが、みなさまにてご印刷していただき、代表者までご発送いただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

*詳細は下記ダウンロードにてご確認ください。

 

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障害厚生年金受給資格の改正を求める請願書.pdf
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「プリペードカードによる生活保護費支給のモデル事業撤回を求める要望書」

大阪市は2014年12月26日,生活保護費の一部をプリペードカードで支給するモデル事業を2015年4月から実施すると発表した。しかし,本モデル事業には,以下の見地から様々な問題点があり,到底容認できるものではないため速やかに撤回することを要望する。

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プリペードカードによる生活保護費支給のモデル事業撤回を求める要望書.pdf
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「病棟転換型居住系施設を考える会・大阪」

 2014年10月3日、市民交流センターひがしよどがわで開催された「病棟転換型居住系施設を考える会・大阪」のリレートークに当協会から会長が参加しました。参加した団体からは、問題点の提起や取り組みが報告されました。

当協会は、8月7日に精神科の病床を施設に転換することに反対する声明を出しています。

 今後も動静を注視し、必要な取り組みを進めていきます。

 なお、10月3日の集会での決議は、下記をご参照ください。

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1003集会決議案.pdf
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「平成26年8月豪雨」災害義援金のお願い(広島市8.20豪雨災害義援金)

広島県精神保健福祉士協会(向井克仁会長)では、被災された方々を支援する義援金の募集を開始しており、その情報も掲載しています。

 

今回、本協会では当該義援金募集の周知広報等に協力させていただくことに致しました。

ぜひ皆さまにおかれましても、関係される者や機関等への周知等にご協力をいただければ幸いです。

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広島県精神保健福祉士協会

「広島市8・20豪雨災害義援金の受付について」(2014年8月25日)

http://www.japsw.or.jp/backnumber/oshirase/2014/20140825-hiroshima.pdf

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広島市8・20豪雨災害義援金振込先
20140825_gienkin.pdf
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精神科病院の病床を施設に転換することに反対する

 長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会(第4回)は、長期入院精神障害者の地域移行に対して直接的な地域移行を継続するのか、病床を居住の場へ転換するのかについて、その是非を検討し、病院敷地内に、既存のグループホーム等を基準とする病床転換型施設への移行を容認した。

 長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性(概要)では、地域移行を進めるため、本人の支援として「退院に向けた意欲の喚起」「本人の意向に沿った移行支援」「地域生活支援」を徹底して実施することを掲げている。しかしながら、病院敷地内に整備される病床転換型施設の導入は、マンパワーの省力化による質の低下や長期入院精神障害者の直接的な地域移行の支援を弱体化させ、地域から隔絶した敷地内施設へ永住する可能性が高まるものと予想される。

つまり、病院敷地内における病床転換型施設への移行は、地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性の指針と矛盾するものである。

 よって、当協会は長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会(第4回)の決定に反対する。

 国・都道府県および市町村は、長期入院精神障害者の計画的地域移行が実現しうる目標値の設定や行程表を作成し、さらにそれを法制化し、精神障害者が安心して地域で生活していくために環境の整備をすることを要望する。

2014年8月7日

大阪精神保健福祉士協会


「生涯研修」について会長より

  生涯研修を学ぶ意義を振り返る

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生涯研修を受ける意義について.pdf
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「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)」の抜本修正を求める会長声明

 厚生労働省は、本年2月27日、「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)」(以下、「省令案」という。)の概要を発表し、3月28日を期限としてパブリックコメントを募集している。これは、昨年12月に成立した「生活保護法の一部を改正する法律」(以下、「改正生活保護法」という。)について、本年7月からの本格施行を前に行われる規則改正に関するものである。

 改正生活保護法については、申請手続の厳格化等によって、いわゆる「水際作戦」を合法化するとの批判や懸念が各方面からあがり、国会審議においては、これらの批判や懸念を解消する方向での法文修正、答弁、附帯決議などがなされたところである。しかしながら、省令案は、以下の諸点において、これらの法文修正等の意義を没却する看過し難い内容を含んでおり、生活保護申請時の窓口対応によって不幸な結果に至った数々の事案が過去発生していることに鑑みても、到底容認できない。

第1に、改正生活保護法第24条第1項は、従来、口頭でも良いとされていた申請について申請書の提出を必須とするように読める内容であったため批判を招いた。そこで、申請行為と申請書の提出行為が別であることを明確にする法文修正が行われ、参議院厚生労働委員会附帯決議でも「申請行為は非要式行為であり、・・・口頭で申請することも認められるというこれまでの取扱い・・・に今後とも変更がないことについて、省令、通達等に明記の上、周知する」とされたのである。

 ところが、省令案は、「保護の開始の申請等は、申請書を・・・保護の実施機関に提出して行うものとする」として、修正前の法文とほぼ同内容の表現に戻されており、原則として口頭申請は認められないという誤解を招く内容となっている。

 また、省令案は、「ただし、身体上の障害があるために当該申請書に必要な事項を記載できない場合その他保護の実施機関が当該申請書を作成することができない特別の事情があると認める場合は、この限りではない」として、口頭申請が認められる場合が身体障害等の場合に限定されるように読める内容となっており、現行の運用指針(生活保護手帳別冊問答集問9-1「口頭による保護申請について」)よりも後退している。

さらに、改正第24条第1項ただし書は、単に「当該申請書を作成することができない特別な事情があるときは」という表現であるのに、省令案は、「保護の実施機関が当該申請書を作成することができない特別の事情があると認める場合は」として、特別の事情の有無の判断権を実施機関に委ねる表現へと後退している。

 第2に、改正生活保護法第24条第2項は、従来、保護決定までの間に可能な範囲で行えばよいとされていた要否判定に必要な書類の提出について、申請書にすべて添付しなければならないように読める内容であったため批判を招いた。そこで、これまでの取扱いに変更がないことを明確にするためにただし書を設けるという法文修正が行われ、国会答弁を踏まえて前記附帯決議でも「要否判定に必要な資料の提出は可能な範囲で保護決定までの間に行うというこれまでの取扱いに今後とも変更がないことについて、省令、通達等に明記の上、周知する」とされた。しかし、省令案には、この点に関する記述が一切存在せず、国会答弁や附帯決議に反している。

 第3に、改正生活保護法では、扶養義務者に対する通知義務を定めた第24条第8項、扶養義務者に対して報告を求めることができるという第28条が新設されたが、扶養義務者に対する扶養の要求が強められ、事実上扶養できないことが保護の前提条件とされるのではないかとの批判を招いた。これに対し、厚生労働省の会議資料や国会答弁では、「福祉事務所が家庭裁判所を活用した費用徴収を行うこととなる蓋然性が高いと判断するなど、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる極めて限定的な場合に限ることにし、その旨厚生労働省令で明記する予定である」と繰り返し説明されていた。ところが、省令案では、原則として通知や報告要求を行うが、「保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第77条第1項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高くないと認めた場合」等に例外的に通知等を行わないものとしている。これは、原則と例外を完全に逆転させるものであって、背信的とさえ言える。

 以上のとおり、本省令案には、重大な問題が多々含まれており、生活保護を必要とする市民をいたずらに萎縮させ日本国憲法第25条で保障されている生存権を脅かしかねない。生活困窮者の支援に取り組む専門実務家団体として、当会は、本省令案の内容を到底容認できず、上記の国会答弁や附帯決議等を真摯に反映させた内容に抜本的に修正することを求めるものである。                 

                                   2014年3月13日

                                大阪精神保健福祉士協会

                                   会長  平 則男


○ 救援募金のご報告

東北地方太平洋沖地震における義援金へのご協力ありがとうございました。

 

H23年3月に行われました実習指導者研修におきまして、東日本大震災の義援金に参加者の皆様に多くのご協力を頂きました。

その後、大阪精神保健福祉士協会の役員会や一般会員からの寄付を含めて、H23年4月8日に日本精神保健福祉士協会に10万円を振り込ませて頂きました。小さな善意も大きな善意すべてを込めて送らせて頂きました。ご協力頂いた皆様にはあらためてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

大阪精神保健福祉士協会としましては、今後も義援金活動を続けて行きたいと考えております。会員の皆様には、引き続きご協力をお願い申し上げます。


【義援金内訳】

義援金協力

金 額

実習指導者研修会

¥61,900

大阪精神保健福祉士協会役員会

¥33,100

一般会員

¥5,000

 

計100,000

以上